髪にも表れるサービス精神 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

時々、バレッタ(髪飾り)リボンを新調することがあります。というのは仕事用のもので、プライベートのシュシュなどとは別物です。相当お世話になって壊れてしまうか、仕事上何か気合を入れ直す時に買い替えます。


毎日のように使うと、オーガンジーの縫い目など繊細な部分もあるため、意外と壊れやすく、予備や、気に入ったデザインのものを幾つか用意しますが、いつも不思議と一つのものが生き残り、他は壊れてしまったりします。


「これは新人のときから一緒だったのよね。」というように、何かしら思い入れがあってお守りのような気持ちで使うからだと思います。スポーツ選手のゲン担ぎのような気持ちを、私はもってしまいます。(他の方は気にしていないのでしょうけれど笑


似たようなことを過去にも書いたことがあるかもしれませんが、演奏会スタッフをする女性の髪型について触れてみたいと思います。


私の髪はかなり長い方ですが、仕事の時はシニヨンにするのがこだわりです。絶対にシニヨンにしなければならないというわけではありませんが、レストランやホテルなど、似たような接客業に多い基本的髪型ではあります。


長くても、きちんとまとめ、お辞儀したときに垂れてしまう髪を無意識にも手で触らないように。そういう意味でも、また、揺れて人に接触しやすいので、ポニーテールはたいていどこのコンサートホールも禁止だと思います。ただ、後ろでひとつにまとめる分にはOK。


夜会巻きは、仕事の時はかがんで客席の下をのぞき込んだり、物を運んだり、クロークの棚で擦れたりと、崩れてしまう危険があるので、不向きです。禁止のホールもあります。そういう意味では最近流行りのバナナクリップも不向きでしょうか。


とにかく清潔にまとめたら、前髪が垂れないように、そして遅れ毛にも気を配り、ヘアピンやムースなどを使って調整します。その時に匂いの気にならないものを選びます。最後にシュシュや髪飾りを忘れないようにしましょう。髪ゴムのむき出しはNGです。


私が最初に研修を受けた所は

「遅れ毛1本許しません!」

でしたし、髪ゴムだけで飾りが無い人は、フロアに出してもらえませんでした。忘れてしまった人のために、事務所に予備を置いてあったほどです。でもそれは自覚が足りない恥ずかしいことでしたが。


何故かというと、前もってお客さまをお出迎えするためにきちんと準備をしていたというおもてなしの心を表すためです。


髪ゴムだけですと、直前にとっさに慌てて髪を結んだような感じがしてしまいます。でも、面白いことに、絶対的に義務付けされていないホールですと、事実、集合時間ギリギリに駆け込んできて髪を慌てて結ぶ人がしょっちゅういるものです。こんなところへの気配りにも、大袈裟なようでも、実際に言えることなのです。


そのような人は手櫛で髪を集めて結えるので、くしゃっとした感じです。一方、遅れ毛1本NGの所は、ブラシではなくコームでまとめる、分け目もコームでつける、など細かく決まっています。そこは髪飾りにも色はもちろんのこと、素材などについてもこと細かく掟があり、きっと予想外なほどです。(そんなに気にならない程度なのに、ちょっとばかり赤みの強いカラーリングをしてきた人に「染め直しなさい」と指導があったことがありました叫び


そこまでできなくても、最低限、可愛いから、キレイだからとつい選んでしまいそうな、でも客席で光ってしまうビーズやスパンコール、スワロフスキーなどのついたものは、コンサートホールではお客として着飾って行く時だけにしたいものです。


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本当に角々にまでこだわり抜くのはどこまでか…きっちり違いが表れますこわい


直接接客をするわけでもない方にはあまり興味のない話題だったと思いますが、出掛けた先で、案外こんなところにも気合が表れているのだなと、こっそり観察し、見比べてみてください。あなた様の守備範囲のピカイチはどこでしょうニヒヒ