マーチ「アンパリト・ロカ」と先生 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

息子がたまたま見ていたユーチューブのBGMの曲が、私にとって大変懐かしい曲だったので、驚きました。でも…よ~く聴いた曲なのに、曲名を知らなかったんです。淀工が演奏していたのがとってもカッコよくて多分アンコールだったから今みたいにネットで知ることもなかったのだと思います。青春を思い起こします。

で、曲名を知りたくて、ユーチューブからなんとか探し出しました。そこまでは良かったのですが・・・。吹奏楽のマーチ、といえば何と言っても花形の打楽器!そのなかのスネアドラム!・・・の、ゲスト演奏をしているのは、なんと私の高校時代お世話になった先生ではありませんか!

当時老舗のプロ吹奏楽団にいらっしゃって、私たちの高校、吹奏楽部の打楽器をご指導下さっていて、ご自宅にも何度か遊びに行かせていただいたり、社会人になった後も先生の楽団の演奏を聴きに行けば会いに行きました。OLになった時は「えぇお姉ちゃんになったなぁ~」(←大阪弁)とおっしゃるような気さくで面白い先生でした。打楽器以外のみんなにも好かれていて、パートを問わず大人数でお邪魔すれば、奥さまやお子様(だいたい同世代でした)みんなでもてなしてくださいました。

よくよく調べてみると、ご逝去なさっていたことがわかりました。2005年の4月のことだったそうです。

つい最近まで年賀状だけはやりとりがあったのですが、ある年突然差出人が奥さまから、主人宛てに来ました。もしや、何かあったのでは?と、少しは頭をよぎったものの、もう20年以上前のおつきあいだったので、大勢の生徒さんたちを見て来られた先生はもはや私が誰だかわかっておられないのだろうなとも思っていたので、「ご迷惑かも」と思い直して年賀状をストップしていました。

この先生のお兄さんは、春の選抜、甲子園の入場行進曲を長い間アレンジなさっていた人で、兄弟で同じ楽団におられました。お兄さんは当時確か団長だったと思います。そのお兄様も昨年ご逝去なさっていたのだと知りました。(ちなみに「なごり雪」の歌手のイルカさんと親戚だともおっしゃっていました。)ちなみに現在のように神戸の学校の生徒が演奏するようになる前は、この楽団が開会式の演奏も務め、行進曲や校歌の演奏は以後も録音していたみたいですよ。

私は本当は木管がやりたかったのに、無理やり打楽器ななってしまった中学時代。高校こそはと思ったものの、既に打楽器の魅力をわかってきていて、結局続けることにしました。そこで出会った先生。

一つの学校から2組しか出ることのできないアンサンブルコンテストにも、打楽器が代表して出ることもできました。ジャズドラムの奏法やサンバならどんな曲でも任せて!というような命で打つことの楽しさや、リズムとはどういうものかということも教わりました。コンクールなどのお固い曲にも色々とアドバイスいただきました。ご自宅では珍しい楽器を色々みせて頂き、みんなで即興で演奏しました。貴重な教本もコピーしなさいと気前よく貸してくださり、宝物にして練習しました。

戦後は進駐軍を相手にお兄さんたちとジャズを演奏したんだよという楽しいお話も聞くことができました。ご自身で作成された形の変わったタンバリンを見せていただき、特許を申請中(?)とかなんとか、おっしゃっていたこともありました。

定年で楽団を退職された(市の楽団なので公務員なのです。)後は「サウンドコーディネーター」と名乗られ、フリーで活動をしておられました。きっと戦後、音楽で食べて行くご苦労も経験されながらも、だからこそ表現することをとことん楽しんでおられたのではないかと思います。

先生と出会っていなかったら体育会以上の厳しすぎたスパルタクラブを辞めていたかもしれません。
本当の意味で音楽の素晴らしさを教えてくださったのはこの先生かもしれないなと改めて思いました。

今度、当時の仲間にも声を掛けて、お仏壇に手を合わせにお伺いできるとよいなと思います。だ~い好きだったお酒をお供えにお持ちして・・・。

探していた曲「アンパリト・ロカ」 作曲:J.テキシドール
演奏:阪急百貨店吹奏楽団
スペインの風が吹きます。
(ユーチューブは3曲メドレーです。アンパリトは3分42秒からの曲です。)

阪急百貨店吹奏楽団第3回定期演奏会より
マーチアルバム 海を越える握手(指揮 右田和広)~アンパリト・ロカ
指揮 北村憲昭)~ボギー大佐(指揮 鈴木竹男) 
ゲスト スネアドラム 永野成計 





<阪急百貨店吹奏楽団(現:阪急阪神百貨店吹奏楽団)について~WIKIより>
1960年(昭和35年)に創設された阪急百貨店吹奏楽団が前身。阪急阪神百貨店グループに勤務する従業員のみで構成される職場バンドである。2008年(平成20年)10月1日、阪神百貨店との合併により現在の名称に変更された。

全日本吹奏楽コンクールの常連で、アマチュア吹奏楽団としては名実共に日本一の実力と伝統を誇る。かつては団員の育成機関として阪急商業学園を擁し、阪急少年音楽隊(現早稲田摂陵高等学校吹奏楽コース)としてのセミプロ的活動も活発に行われていた。 また阪急ブレーブスの存続時には西宮球場での応援歌演奏も担当していた。