15歳天才少女の気持ち | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

私は、原則的に、自分が仕事で関わった演奏会の内容については、善くも悪くもブログでのコメントは、敢えて書かないことにしています。


でも、昨日はフリーで、極めて個人的なお手伝いであることや、是非知っていただきたいので、書かせていただきたいと思います。


以前にも、少しご紹介したことがある、この春中学校を卒業したばかりの天才ヴァイオリニスト、松本紘佳さんです。彼女はすでに国内外で活躍していて、名門のオケと共演したり、リサイタルもこれまでにも開催しています。題名のない音楽会で、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。


五嶋みどりさんを彷彿とさせます。その演奏の素晴らしさは、ヴァイオリンの知識のない私が語るのも恐れ多く、失礼な感じがするくらいです。ただ、本当に彼女の音楽が「好き」です。音色が好きです。音楽への姿勢や、主張など、本当に目を見張ります。


その松本紘佳さんのリサイタルだったのです。プログラムには、挟みこみのカードが1枚だけ、ありました。小さなその紙には、彼女の大震災への想いが綴られた、お客様へのメッセージでした。自分の息子と同い年という点では、感心しきりですが、15歳とか何とかではなく、一人の音楽家からのメッセージとして受け止めたいと思いました。


転載させて頂きたいと思います。


 3月11日の大震災から10日目の今日、被災した多くの方々がいらっしゃるところを、また、日常生活や交通が平常でない中を、演奏会にお越しいただき有難うございます。

 この大震災に際し何ができるのだろうかと悩む日々が続いています。

 音楽は幸せを与えてくれます。例えばベートーヴェンは亡くなってから184年経ちますが、彼が作曲した曲は今でも人々に愛され、必要とされています。聴く人も弾く人も幸せにする力があるからだと思います。今の私にできること、それはヴァイオリンを弾くこと。

 私は、このような大変な状況において、今日、この演奏会を開催していただけたこと、そしてヴァイオリンを弾き、皆さまに聴いていただけることに、とても感謝しています。

 感謝の気持ちを込め、被災地の方々に今日の演奏会から寄付をして、わずかな力ですが、悲しみの中にいる人たちに、少しでもお役に立つことができたらと希望します。

松本紘佳

2011年3月20日

横浜みなとみらいホールにて



           (チラシ)

ピアニスト松浦健さんとコンサートホールと                        ~ピアニスト・松浦健さん応援しています~



なお、この日、「小児がん征圧募金募金箱を当日ロビーに設置します。」という一言が、チラシに掲載されていましたが、小児がんのみならず、大震災への募金箱と二つ並べられており、私も募金箱の横で少しの呼びかけを致しました。たくさんの方のご厚意に感謝申し上げます。



プログラムは

♪ベートーヴェン

ヴァイオリン・ソナタ第5番 へ長調 作品24「春」


♪プロコフィエフ

ヴァイオリン・ソナタ第2番 ニ長調 作品94a


♪イザイ

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」ニ短調 作品27-3


♪フランク

ヴァイオリン・ソナタ イ長調


<アンコール>

♪ドヴォルジャーク

我が母の教え給いし歌

♪サラサーテ

ツィゴイネルワイゼン


<使用楽器>

名手カール・フレッシュが所有したC.F.ランドルフィ(貸与)