朝 | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

このところ、色々なことが一気に起こって、精神的にようやく落ち着きそうになると、身体が悲鳴をあげて、若い時のようには無理できないなと思います。ブログの更新もさぼってしまいました。(言い訳…)

毎日朝、気持ちよく起きられることはありがたいですね。今少し、朝が辛いです。ふと藤村の詩が思い出され、頑張って起きました。「今日の命の戦いの装いせよと」の部分です。



「朝」 島崎藤村

朝は再び ここにあり 朝は我らと 共にあり
埋もれよ眠り 行けよ夢 隠れよさらば 小夜嵐

諸刃うちふる 鶏(くだかけ)は 咽喉(のんど)の笛を 吹き鳴らし
きょうの命の 戦闘(たたかい)の 装いせよと 叫ぶかな

野に出(い)でよ 野に出でよ 稲の穂は 黄に稔りたり
草鞋(わらじ)とく結え 鎌も執れ 風に嘶(いなな)く 馬もやれ



くだかけは にわとり、
のんどの笛を…はコケコッコです。
わらじをキュッキュと締め、鎌や馬を!
というお百姓さんが命の糧を守り育てる奮闘開始の忙しい朝の様子です。

現代の忙しいサラリーマンの朝も、昔の貧しい農民の朝も、共通しているなと思います


私のなかでは、高校生のときに部活の合宿でみんなで朝に歌う合唱曲だったのですが、そのイメージは和製ミレーといいますか、歌はメゾソプラノあたりで 凛とした厳しい農村の朝にも、気品のあるイメージで聴きたいのですが、このユーチューブの演奏は、ちょっと気恥ずかしいような、笑ってしまいます。でも、こっちの方がこの曲の意図に合っているのかもしれません。だって、農民が今日も頑張ろう!としている朝の歌なのですから。戦前の農村を鼓舞していたという背景なのですね。

そっと詩の朗読をする方がいいかもしれません。アップしておいてなんですが、特に夜は。時は大正14年、作曲は小田進吾さんで、藤村の詩集「落梅集」のうちの「朝」という部分の詩にメロディーがつけられています。「まだあげそめし前髪の…」あの、藤村です。

戦前、日本放送協会が国民歌謡として選定し、ポピュラーになったようです。