コンサートホールの客席の照明のことを、業界用語で客電と言います。客席の電気、そのままですね!(笑)
これが、天吊ライト、シーリングライト、スポットライトなど、舞台の照明も含め、コンサートホールの会場(客席&舞台)内は、さまざまな種類の電気の組み合わせで成り立っていますので、当然一口に照明といっても、何通りにも演出できるのです。
あまり意識しない照明も、奏者の希望や照明さんのこだわりや、色々な想いからその演奏にぴったりの演出をしているのでしょう。
その客電ですが、電気のついている状態を何%と表したりします。付けるのがアップ、消すのがダウンです。「ここで0から30%にアップします。」などと会話の中で使ったりします。
また、コンサートホールごとに、照明器具のデザインも色々と違い、無意識のうちにそのコンサートホールのイメージ(風景)のひとつとして、印象に残っているのではないかと思います。
例えば、面白く、美しいと思いますのが、サントリーホールの舞台天井の反響板の辺りは、どんな意味があるかといいますと、シャンパンの泡をイメージして作られています。さすが、お酒のイメージです。
ところで、客電は、一般的なコンサートでは、0=真っ暗にすることはそんなにはありませんが、時々内容に合わせて、0にすることがあります。この中を歩いたことのある人はわかると思いますが、本当に文字通り真っ暗!!で、自分の周囲はほとんど何も見えなくなります。
でも、人間の目は少しだけ待つと、ちゃんと闇に慣れますよね。また、避難用の足元灯は灯っていることかと思います。
途中入場の場合は、客電が0でなくても、足元が心許ない時も含めて、レセプショニストがペンライトで足元を照らして差し上げることになります。
気の利いたご案内をするホールですと、途中入場の前に「本日は客席の照明が真っ暗になっておりますので、お足元にお気をつけください。」など、その時の状態を説明してくれることもあります。すると、お客様も意識して気をつけてくださいます。演奏会を開く立場の方は、ご参考にしてくださればと思います。
特に気を付けて頂きたいのは、お客様のご都合で、演奏中の退席などですと、お客様の思いもよらず通路が真っ暗になっていることでしょう。大変に危険です。どうか、焦ってしまい、転倒などなさらないように、ゆっくりと落ち着いてご入場・ご退席くださいね。