通の集う演奏会で | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

演奏会に相当通いなれた方が圧倒的に多い演奏会というのがあります。各々のオーケストラの定期会員もその部類ではありますが、群を抜いて…というのがN響関係の演奏会と、バッハの曲のプログラムのそれです。


客層も、圧倒的にご年配の方で占められています。私たちレセプショニストは杖を持ってご来場の方について、いざという時の安全を守るため、座席の把握をしますが、もう把握しきれないくらいです。(一応持っていらっしゃるけどお使いにならず普通に階段を上がっておられるなど、ちゃんと必要なことは見極めていますのでご安心を。)


この手の演奏会では、お座席のご案内もほとんど要らなかったり、開場中も開演中もマナーについて注意して回ることなど、皆無に近いという感じです。何かお声を掛ける場合でも、近づいただけでご自身で気付いてくださったり、理解してくださいます。大変に気持ち良く仕事が出来ます。


でも、その半面、通常以上に、他のお客様のご様子等々、普段はあまりないようなことでのご指摘が多いのも事実で、それは、音楽へのこだわりが、とてつもなく深いが故に、各々の主張が強くてぶつかるのです。ひどい時にはお客さま同士、けんかになります。途中入場など、様々なことが気になる方も多いのです。


他に、初心者のように扱われること、ご案内しようとするのを嫌われる方も非常に多く、その辺は、瞬時に見極める必要があり、経験がものをいいます。お客さまにとって、通としてスタッフとも阿吽の呼吸でやりとりする楽しさを求められる方も、分かりやすい言葉でわかるように丁寧に説明をして差し上げる方がお喜びになる演奏会デビュー組の方も、一堂に会しておられるわけです。


通の方が圧倒的な場合は、仕事の楽さと、気難しさが天秤にかけられている感じで、苦手という人も中にはいます。でも、私は個人的に、好きなタイプの演奏会です。やりがいがあるというか、音楽に対してクオリティーの高いお客さまに一流のおもてなしを提供し、喜んでいただけるのもまた、気も引き締まり、嬉しいことです。


お祭り的な演奏会もワクワクして好きですし、お気軽にお子様と楽しんでいただけるファミリーコンサートや、手作り感一杯のリサイタルも気合が入ります。


結局、コンサートホールが好きなんですね、私。