もし、きみが幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことが出来たなら、その後の人生をどこで過ごそうとも、パリはついてくる。

なぜなら、パリは移動祝祭日だから。

 

(原文:If you are lucky enough to have lived in Paris as a young man, then wherever you go for the rest of your life, it stays with you, for Paris is a moveable feast.)

 

これは、作家ヘミングウェイが彼の友人に語った言葉だが、それがそのまま彼の遺作「移動祝祭日」のエピグラフ(題辞)となっている。

 

そもそも移動祝祭日(A Moveable Feast)とは、キリスト教用語で、その年によって日付が移動する祝日を意味するが、もうひとつは、どこにでもついてくる

「魂の祝宴」といった捉え方があるようだ。

 

僕は、20代の頃、南仏とパリで生活したことがある。

もうかなり昔の事で、フランス語を話していた自分の存在さえ記憶の彼方なのだが、

「パリ」という響きに紐づいて浮かんでくるのは、きまってキラキラと心の底から嬉しくなるような幸福な感覚なのだ。

 

ただし、実際のパリでの生活は、曇りの日が多く空は灰色、寒がりの僕にとってコートなしで生活できるのは、初夏から初秋のたった数ヶ月、とにかく寒い。

ストは多いし、時間通りに何かが運ぶことは少なく、日本のように「おもてなし」の文化はかけらもない。

なんとも住みやすい国とは言えないのだが、何故かフランスでの生活を思い出すと、いつも魂が喜ぶような幸せな感覚がよみがえってくるから不思議だ。

そして、その感覚は僕がどこにいても、パリを思い出すたびに、この先消えることはなくついてくる。まさしく、「移動祝祭日」なのだ。

 

でも、そんな「移動祝祭日」って誰にでもあるんじゃないかな?

それは、パリでなくてもいいし、他の場所でも、記憶に残る体験でもいいと思う。

何か辛いことがあったとき(辛いことがなくても)、「ふとそれを思い出すと」

幸せな気持ちになれる、それが移動祝祭日だから。

そして、世の中の人がそういった自分だけの「祝祭」をもって、キラキラと生きれたらいいなと思う。

 

そういえば、僕は今年にはいってからアルケミストマスターの同期生の方のインスタライブに何度か参加させて頂いている。

この体験は僕にとって宝物だし、きっとこの先、アルケミストマスターとして活動するということが、僕の新しい「移動祝祭日」になっていくんだろうな:)

 

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