ユノはスンジェが住む別棟を初めて訪れた。…はず。

なのに、妙に見覚えがある。

特に縁側が気になっていた。


「ユノ殿、お久しぶりですな。ここ、懐かしいでしょう?初めてあなたがチャンミンと出会った庭ですよ。」


ああ、そうだった。ここでチャンミンと出会ったんだ。

藤棚の藤がとっても綺麗で、藤の花を見ているうちに嬉しくなってぴょんぴょん飛んで遊んでいたら、「可愛いね。うちの子になる?」ってチャンミンが声をかけてくれたんだ。

あのときは子供だったから、それがプロポーズだと勘違いしてしまったけど、チャンミンが俺のデスティニーで良かった。


「感慨にふけっているところ申し分けないが、なにか話があるのでは?」


あ!そうだった!

ユノは別棟に通されると、姿勢を正して、改めてスンジェに挨拶をした。


「お祖父様、この写真の宝石に心当たりはありませんか?」


ユノはいきなり直球をぶつけてみた。


「これは、最近立て続けに何者かに盗まれている宝石…。こんな綺麗な宝石は私の趣味の考古学とはとんとご縁がありませんな。」

「そうですか…」


ユノは怪しいと思ったが、一度引き下がることにした。突っ込んで問い詰めてもこちらが疑われるだけだし。

手土産の塩豆大福を食べて、世間話などをして、小1時間ほどでユノはスンジェの別棟を出た。



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