ユノは買い物に出かけていた。

義祖父スンジェに会いに行くための手土産を購入するためである。

東方堂の塩豆大福が大好物と聞いていたので、買いに来たのである。


「まあまあ、シム財閥のユノ様が直接いらっしゃるなんて!ご連絡いただけたらお屋敷にお持ちいたしましたのに。」


やや年配の店員が塩豆大福を包んでいる間に支配人がユノに抹茶と落雁をふるまっていた。


「このお菓子、とっても美味しいですね。お茶と凄く合う…」


口元を手で隠しながらも、はぁ、とため息をつくと、


「この落雁もいただいていこうかな。コーヒーにも合いそうだから、チャンミンと一緒に食べたいし…」


「かしこまりました。それでは季節の落雁をご用意いたしますね。」

「ありがとう。」



東方堂からご機嫌で出てきたユノは、待っていた車に乗り込んだ。


「今日はお祖父様、大学はお休みだよね?」


スンジェは時々母校である大学で考古学の特別講師として講義をしている。


「はい。大旦那様は本日は外出のご予定もありませんので、別棟にいらっしゃいますよ。」


運転手のシンドンはニコニコと答えた。


「じゃあ、お祖父様にアポ取っといてくれる?」

「かしこまりました。お時間はいかが致しましょう?」

「んー、午後3時頃とかどうかなぁ。そこらへん伺っといて。」

「かしこまりました。」


車は静かに走り出した。



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