「…だって…」


ドフンは俯いたまま続けます。



「だって、明日にはもう、僕は国に帰らなきゃならないんだ。」

「うん」

「だから、もっと話したかったんだ。あなたと。僕、あなたが気になってしょうがないんだ。」

「踊り子にバラの花をあげるのに?」

「そっ、それはっ!!」


ドフンは勢いよく顔を上げました。


「それは、あなたに似てると思って…っ!」


そう、あなたによく似た踊り子がいると思ったから。

女性だったから、お花をあげなきゃって。


ああ、そうだ、僕はきっと初めてここであなたに会ったときから惹かれてたんだ。



「それ以上は口に出さない方がいいね。その理由は君自身がよく分かってるんじゃないの?」




チャンスンはドフンの心の中が見えているかのように言いました。





一方、龍の神殿ではドフンの話題でもちきりでした。



「ねえ、CQ、ドフンは本当は具合悪くないんでしょ?僕、なんともないもん。」



ドンジュがマドレーヌを頬張りながら言いました。

ヒグマのCQはシロクマのCQから連絡を受けていましたので、事情は知っています。

しかし、ここでそれを言うのは違うと思い、黙っていました。

すると、ユンが手のひらの上に小さな龍を出しました。


「気配を知られないようにね。」


龍はコクコクと頷いてぱちんと消えました。



「ユン。覗きなんて、シェンロンとして褒められたふるまいではないな。」



ムソクにたしなめられたユンは一瞬だけ、うなだれましたがすぐに持ち直し、前のめりで話し始めます。



「でもでもっ、気になるじゃん!たちの良くないことに足を踏み入れそうになってるかも知れないんだよ⁉確かめなきゃっ!」



それはそうだと、その場の全員が思いると、金の光の粒が降ってきました。



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