※3人称で進行します。





ユノのケーキショット撮影に、アルコールが入って陽気になったヒチョルが混ざり、いつの間にか、記念撮影大会になっていた。

店内の騒がしさから逃れるように、チャンスニはテラスに出て外から店内を眺めていた。


「疲れたか?」


クッデがシャンパングラスを2つとシャンパンが入ったクーラーを持ってやってきた。

チャンスニがグラスを受け取り、軽くグラスを合わせた。


「流石に少しね。でも、心地いい疲れだわ。今、とってもいい気分」

「俺もだ。弟の誕生日にあれだけの人たちが祝ってくれて、それに、今年はお前もいる」


小さな泡が競うように上がっているシャンパンを照明に透かすようにグラスを見る。

クッデはシャンパンを一口飲むと再び喋りだした。


「お前は製菓でトップだった。誰とも群れず一匹狼なところが俺と似ていると思った。そんなお前がパティスリーを持ったと聞いて密かにソウルまで行ったりもした。ところがある日行ったら、店は閉められていて、ご実家を訪ねても、お前は誰とも会わないからと門前払いを食らった。何があったのかわからないまま時間が過ぎていって…」


グラスに残ったシャンパンを一気に飲むと、クッデはチャンスニの方にまっすぐに向いた。


「ある日突然、お前が現れたときの驚きが分かるか?それも痩せて一回り小さくなって…」


今度はチャンスニがシャンパンを一気に飲んで言った。


「あんた、本当は何が言いたいの?」

「わからないか?」

「私は何でもはっきり言ってもらわないと分からないの」

「ここでバナナケーキを焼かせたのは、お前の焼き菓子が食いたかったからだ。あいつのケーキを作る場所を提供したのも、お前を見ていたかったからだ」

「だから?早く言いなさいよ」

「お前が好きなんだよ!初めて会ったときからずっと!お前はどうなんだ?」

「私もよ」



騒々しかったはずの店内は静まり返っていて、みんなの視線はクッデとチャンスニに集まっていた。


「カットしたケーキを持っていきたいけど、行くに行けないねえ」

「ほーんと。今夜の主役は俺なのにさー」

「チャンミン、とうとう姉君を弁当屋にとられてしまったな」



みんなに見られているとも知らずにクッデとチャンスニは、今までの時間を埋めるかのように抱擁していた。


おわり



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