マカロンを焼きながら中に挟むガナッシュを手際よく作っていく。

黙々と作業していくスニちゃんは、無駄な動きが一つもない。

でも、集中して周りが見えなくなるということもない。

それはクッデさんさんも同じで、無駄な動きなく作業していく。

写真を撮っていて気づいたけど、やっぱりこの二人は似てるんだ。

そして、このアトリエプラダという空間。

スニちゃんは言ってみれば余所者なのに、この店の雰囲気に馴染んでいた。

テキパキと動くスニちゃんを見て、嬉しい一方でどこか寂しさも感じる僕がいる。

僕が助け出したのに。

僕が釜山に連れてきたのに…



「チャンミン!」

ハッと気がつくと、みんなの目が僕に集まっていて、僕の横にはユノさんがいた。

「何回呼んでも気が付かないんだもん。心配しちゃったよ」

サラサラの金髪を揺らしながら、ユノさんは僕の肩をポンポンと叩いた。

「疲れてるなら、もう帰って休んでたら?」

「大丈夫だよ」

すると、何を思ったのか、スニちゃんはユノさんに声をかけた。

「ユノさん、この子、気分転換に連れ出してくれない?ずっと、私に付きっきリだったから、そろそろ疲れが出てくる思うの」

「こんなじゃじゃ馬の世話は大変だもんな」

「うるさいわね!」

スニちゃんの回し蹴りがクッデさんの腰のあたりをかすめた。

「っぶねえ…相変わらず足癖が悪いな、チャンスニ」

「チャンミン、どつき漫才見てても疲れるだろ?お茶しに行こうぜ」

スニちゃんとクッデさんのやり取りを見てたら本当に疲れてきたので、ユノさんの誘いに乗ることにした。



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