マンションに帰るとコーヒーの香りがした。
「ただいま」
「おかえり。あんたの分もあるわよ」
スニちゃんが指した先には耐熱マグが置いてあった。
「今淹れたから十分熱いわよ」
なんとなく疲れているように見えるのは気の所為か。
「疲れた?」
「ちょっとね。残ったクッキーに飾りを入れて遊んだりしてたから。でも大丈夫よ」
クッキーは割れてしまうかもしれないことを考慮して10枚くらい予備が出るように焼いていたけど、幸い1枚も割れてなかったので予備はそのまま残ったのだった。
お皿に乗っていたのはウサギやクマなどのかわいい動物たち。
しかも、色味はパステルカラーで、ヒチョルさんのところに作っていたものとは全然雰囲気が違っていた。
「食べていいわよ」
「その前にこれ撮らして」
ダイニングのペンダントライトを少し下げて照明の代わりにしてシャッターを切る。
撮り終えると、スニちゃんがクッキーをラッピングし始めた。
「それ、どうするの?」
「打ち上げに持っていくのよ。一応手土産のパウンドケーキも焼いてあるけど」
いつの間に。だから疲れていたんだな。
ラッピングの様子をじっと見ていたら、スニちゃんが呆れたような顔で言った。
「あんたのおやつは明日作ってあげるわよ」
そういう意味で見てたわけじゃないんだけどな。
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