「素晴らしい!なんて素敵なクッキーなんだ!」
出来上がったアイシングクッキーを見て、ヒチョルさんは大喜びした。
開店10周年だから気合を入れたイベントにしたかったのだと、上気した顔で言い、打ち上げにもぜひ来てくれと僕たち二人を誘ってくれた。
「打ち上げ会場は弁当屋のアトリエプラダだ。場所は分かるな?」
ヒチョルさんはホクホクとラッピングされたアイシングクッキーを、これまた綺麗にデコレーションされたバスケットに詰めていた。
アトリエプラダ…
「あんた、相変わらず分かりやすいわね。表情がコロコロ変わりすぎよ」
「えっ⁉そう?そうかなっ!そんなことないと思うけどっ」
「どうせ、あの金髪の人のことでも考えてたんでしょ」
「な、なな何言ってんのさ!なんで僕がユノさんのことを…」
「あぁ、ユノさんていうんだっけ?」
スニちゃんはニヤリとした。
「スニちゃん!よくない顔だよ!」
「あーら、私が気がついていないとでも?」
スニちゃんは僕のセクシュアリティーのことをちゃんと理解してくれている。
「私が釜山に来てから、何回あそこのお弁当をオーダーしたかしら?」
「ぐっ…」
バレていたのか!
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