「スニちゃん、ここのオムライス美味しいんだよ」

「なら、それにするわ」

2人分のオムライスを注文して待っていると、壁にかけられている写真にスニちゃんが気づいた。

「あの写真、あんたのよね?」

「そうだよ。分かった?」

「だって、あんたの部屋のベランダからの夜明けの景色じゃない。私も同じ景色を見たわ。最近は朝までぐっすりだけど」

そう、スニちゃんは夜中に部屋を歩くことがなくなった。

夜、ホットミルクを飲んでいるからなのか。

僕としてはそうであってほしいところだけど。

話しているとオムライスがやってきた。

平らなチキンライスの上に、ぷりっとしたオムレツが乗っている。

ナイフを入れても崩れないけど、食べるとふんわりしててたまらないんだ。

「おいしい」

スニちゃんもパクパク食べている。

「スニちゃん、作れる?」

「あんた、それはあたしの目の前でお菓子を買いに行くって言うのと同じよ。このオムライスが食べたいと思ったらここに来なきゃダメよ」

「あ、そっか。そうだね」

食後のコーヒーとプチデザートを運んできたマスターが、スニちゃんに話しかけてきた。

「ごめんなさい、会話が聞こえてしまったんだけど、もしかしてパティシエさん?」

「そうですけど」

マスターはカウンターの奥にいると思われるオーナーを呼んだ。

「ヒョン!スニちゃんパティシエさんだって!」

オーナーがメガネを外しながら僕らのテーブルにやってきた。

「あの事相談してみようか?」

「そうだな」

あの事?

スニちゃんも不思議そうな顔をしていた。


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