ある日出勤すると、結構永く空席だったデスクにボックスが置かれていた。

誰か異動してくるんだ。

職場での人間関係にはもう期待していないから、新しい人が男だろうと女だろうと全く気にならない。

仕事に支障がなければどうだっていいんだ。

正直なところ、もう僕は誰とも親しくなりたいとは思っていない。








始業してまもなく課長が連れてきた人はスラリとした長身のイケメンだった。

全身の血が沸き立つような感覚に襲われる。

「釜山支部から異動してきたチョン ユンホくんだ。」

チョン ユンホと紹介されたその人は、フロアをゆっくりと見渡してニッコリとすると当たり障りのない挨拶をして、ペコリとお辞儀した。


あの空席に行くんだ。

僕のデスクから丁度斜めの位置にあるその席は、パソコンをカモフラージュにできてチラ見しやすい。

ボックスの中身をデスクに移している様子を、それとなく見ていた。



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