俺がこんなに周りから心配されているとき、あいつはきっと一人で考えている。
あいつはそうなんだ。
一人で抱えて。
でも、今回は違う。
全てを隠している訳じゃない。
俺にも話してくれた。
だから、二人で乗り越えないと。
週末。
いつものように会社から真っ直ぐ仁川のチャンミンの部屋に帰ると、夕食の支度ができていた。
「今日は余裕があったんだ。」
チャンミンは鼻唄混じりにワインのボトルをテーブルに置く。
何となく、いつもより手がこんでいるような気がする。
「何かあったのか?」
「うん。」
花が開くような笑顔を見せたチャンミンは、大事にしているワイングラスを出してきてテーブルに置いた。
ワインを注いだグラスを軽く合わせて一口飲む。
「うまいな。」
「うん。これ、戴いたんだ。」
「へえ、仕事関係?」
「ううん、プライベートでお会いした人。」
チャンミンは照明の光にワイングラスを透かすようにして見つめている。
「なんか、嬉しそうだな。」
ふふっ、と笑って味わうように二口目を飲む様子は凄く嬉しそうで、だんだん気になってきた。
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