※別ブログに載せていたお話です。
マンションを引き払って、プライベートのスマホも解約した。
仁川に見つけた新居はなかなか住み心地がいい。
新しく始めるんだ。
それでもホームページにブログを作ってしまったのは、もしかしたらという気持ちがあるのかもしれない。
毎日写真と一言をアップするだけのブログだけど。
こんな終わりかたをして、きっとあの人は僕を怒っているはずだ。
あの人が一番嫌う方法を取ったんだから。
これでいいんだ。
MAXのホームページにはブログがあった。
つい最近始められたらしいそのブログは写真に一言が添えられているだけ。
最初の写真は、窓から見える漢江だった。
『さようなら』と添えられたその写真は、あいつの部屋から撮ったものに違いなかった。
この日に引っ越したのか。
日に何度も更新されていたりして、俺は、どこかにヒントが隠されているんじゃないかと写真の隅々まで目を凝らした。
「あ。」
この景色は仁川だ。
てっきり全羅道あたりまで行ってるんじゃないかと思っていたけど、こんな近くにいたのか。
三日間パソコンに張り付いていた甲斐があった。
シャワーを浴びて、入念に身支度をした。
あいつを捕まえに行くために。
あいつが好きだと言ったスーツとネクタイで、あいつが俺のために選んでくれた靴を履いて。
絶対に見つけ出す。
職業を知らなくたって、俺は、あいつの好みをよく知ってるんだ。
だから、どこに隠れたって無駄なんだ。
愛してるんだ、チャンミン。
お前は俺といる運命なんだよ。
俺の靴の音がいつもより響いているような気がした。
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