※別ブログに載せていたお話です。




追い討ちをかけるかのように、あいつの電話番号が通じなくなった。


なんでだ?


確かに様子は変だった。


でも、こんなふうに姿を消すってないだろ?


いったい何があったんだ。


俺が何をした?




何故?何故?と頭の中でグルグルと回っていても朝はやってくる。


一睡もできないまま酷い顔で会社に向かうけど、自分だけが別の世界にいるように感じる。


エレベーターの前でシステム開発のチェ シウォンと一緒になった。


「チョン部長、寝不足ですか?すごい顔してますね。」


そういうシウォンも似たような感じだ。


「君も俺のことは言えないようだけど?」


すると、シウォンは小さくため息をついた。


「委託のSEが急に辞めたんですよ。自分が請け負っていたことは全て後任に引き継いであるからって。でも、そういう問題じゃないですよ。仕事なんだから。あいつとは信頼関係が築けていると思ってたのに。」


「突然いなくなられるのは困るな。」


「でしょう?また最初からですよ。」



システム開発のフロアに着くと、シウォンは一瞬背を伸ばしてから颯爽と降りていった。



海外フロンティアのフロアの奥の小部屋が俺のオフィス。


フロアを縦断するように進む造りになっているせいもあって、部下たちが口々に朝の挨拶をする。


「部長、コーヒー淹れまーす。」


ミニキッチンの近くの席にいる女の子が軽やかに声をかけてきた。


手を振って応え、オフィスに入るとすぐ背後からコーヒーの香りが追いかけてきた。


「たまにはホットもいいものですよ。」


デスクにマグカップが置かれる。


「これはあちこちのみんなからです。」


紙で作った即席の籠の中にはいろんなお菓子が入っていた。



「ありがと。」



「ご用のときは声かけてくださいね。」




ドアを閉める彼女の後ろには、いくつもの手が振られているのが見えた。




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