※別ブログに載せていたお話です。
ある日、僕は見てしまった。
小さな子に向ける優しい目を。
子供が好きなら子供と接する仕事をすれば良いということではない。
僕には叶えてあげられないことだ。
離れてあげなくちゃ。
僕が離れれば、その空いた場所にはきっと素敵な女性がおさまるはずだ。
そして、あたたかい家庭と家族ができる。
あの人に似合うのは、人目を忍んで付き合う恋人ではない。
地面だけを見つめる僕の視界には、目の前を通る知らない人の足だけが映る。
待ち合わせに指定したこのカフェは入口が二ヵ所ある。
僕はいつもあの人の会社に近い方の入り口で待っていたから、きっとあの人はこちら側の入り口には気が付かないはずだ。
だから、絶対間に合わない。
僕は18時になったら、この場所を離れる。
それですべてが終わるんだ。
悲しませるかもしれない。
怒らせるかもしれない。
でも、それでいいんだ。
そのまま僕のことを嫌いになって、存在を消し去ってくれればいい。
早く僕のことを忘れてくれれば。
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