「ぬぅ〜」

チャンミントナカイはしかめっ面をしています。

「チャンミナ、どうした?」

ユノサンタが書類から目を離しました。

さっきからずっとチャンミントナカイは唸っているのです。

「あっ、すみません。このジメジメが…」

チャンミントナカイは、いつにも増してクルクルしている髪を撫でつけました。

「お前、本当にこの時期は機嫌悪いな。」

ユノサンタがククッと笑っています。



サンタクロース島は梅雨です。

桟橋広場のあちこちに植えられた紫陽花の花は様々な色に咲いていて、その紫陽花見物の人が沢山います。

島の中も紫陽花が植えられていて、やはり美しく咲き誇っていました。

「雨は必要だということは分かっているんです。でも、このジメジメとした湿気が…」

チャンミントナカイは、とうとう二足変化してしまいました。

「ありゃりゃ。そんなにダメか。」

ユノサンタが、机に顎を乗せて唸っているチャンミントナカイの頭をポンポンと撫でていると、レラサンタが不意に言いました。

「トナカイが使いものにならん!今日はもう仕事終了!」


そうです。

チャンミントナカイだけでなく、他のトナカイもグッタリしてたり唸っていたりしているのです。

ユノサンタは「トナカイってこんなに湿気に弱かったっけ?」と思いつつ、チャンミントナカイを抱き上げました。

「チャンミナ、帰ろう?ビリョンの店で美味いもの食って元気だせ。」

「ん〜。」

唸りながらもチャンミントナカイはユノサンタにギュッとしがみついています。

他のトナカイたちも、それぞれサンタクロースに手を引かれたりしつつ詰所を後にしました。


おわり



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