「チョル、もう泣くな。」
ユノが宥めているのを見ていて、ハッと気付いた。
他のお客さんは?
慌てて振り向くと、店内は俺達以外は誰もいなかった。
「俺の仕事のこととか話したほうがいいかな?隠さなきゃならないことは何もないから構わないし。」
俺が申し出ると、ホジュンさんが新しいコーヒーを人数分テーブルに置いて手招きした。
「今日はもう閉めるからこっちで話そう。チョルもおいで。」
ヨンソクさんが入口にCLOSEの札をかけて戻ってきた。
テーブルをぐるりと囲むように座ると、ユノが一つだけ置いてあったアイスコーヒーを迷わずに手に取った。
「これはオレの。アイスしか飲まないんだ。」
ニコリと俺を見ると、ガラスの器の中に入っている乳白色のシャーベットのようなものをグラスに落とす。
「これ、ミルクを凍らせたやつ。元の牛乳が美味しいからこのまま食べても美味しいよ。」
アイスコーヒーのグラスはみるみるうちに黒から褐色になった。
「で?あんた、何をやってる人?こんな何日も遊べる仕事って?」
チョルさんは俺を睨みつけたままだ。
「チョル!あんたって言うな!」
ユノが叱ると、ムスッとして横を向いてしまった。