落ちていくチャンミンの手を掴もうとしたユノもバランスを崩し、二人とも落ちていく。

「チャンミン!」

「ユノ!」

二人は互いに手を伸ばすけれど重力には逆らえず、近づくことなくドンドン落ちていく。

もうダメだと目を瞑った。












ユノが目を開けると、そこは王の寝所の天蓋の中だった。

そして、隣には同じように目を開けてキョロキョロしているチャンミンがいた。

「チャンミン」

「ユノ」

二人は自分たちの状況が分からない。

ユノは腕の傷痕に触れようとして、その感触の違いに気がついた。

「傷痕が…」

生々しく残っていた筈の傷痕がない。

そして、チャンミンも同じように肩を触っていた。

「どういうこと?何が起こってるの?」

チャンミンは小刻みに震えている。

しかし、それは恐怖からではなく実際に部屋の中が冷えているのだと気がついた。

「チャンミン、何か羽織れ。寒いだろ。きっと今は冬だ」

ユノは自分で発した冬という言葉に何か考え始めた。



この寒さは冬のものだ。

でも、牢に落とされたときは夏だった筈だ。

一体どうなっているのか。

二人とも首を傾げていると、ドアをノックする音がして、寝所の係の召使いが入ってきた。


「あら、ご一緒でしたか。王様、やっと想いが通じたんですね。残念ながら今日は安息日ではないので、お二人とも起きて下さいませ。」


召使いはクルクルと軽やかに寝所の中を動き回り、空気を入れ替え、あちこち整えている。

二人はこの言葉も、この情景も覚えがあった。