笑い声が聞こえる。

でも、下品な笑い声だ。

何かを囃し立てる声も聞こえる。

この国であんな声が起こるとは。

俺たちが互いに溺れていたために、国が崩壊した。

今さら後悔したって遅い。


抉れたように残っている傷痕がジリジリと痛む。

痛みを、守るはずだった国が滅びていくのを、ジワジワと感じながらここに独りでいることが贖罪なのかも知れない。

渇きも飢えも感じないし、痩せもしないのだから。

この身体が朽ちても俺は赦されないのかもしれない。

俺はそれだけのことをしてしまったんだ。






将軍の眼から涙が伝った。

それは、己の罪を受け入れた涙だった。

熱い涙は次々に伝い、伝い落ちてもどんどん溢れてくる。

伝い続ける涙を拭おうと手を当てたときに急に暗くなった。