国の外れにそびえる二つの塔には、神の逆鱗に触れた二人の罪人がそれぞれ囚われている。

罪人たちの、太陽と月の神の姿を模した容姿は国中の人々を虜にした。

そして、二人はその互いの姿に惹かれ、求め合うようになる。

二人は王と将軍で、国を治め、民を守る立場にあったのに、国も国民もそっちのけで互いを求め合い、気がついたときには国は退廃の一途を辿っていた。

かつては、美しい国であった。

建物はタイルで彩られ、隙間なく敷き詰められた石畳は艶やかだった。

広場にはたくさんの露店が出て、活気溢れる光に満ちた国であったのに、今では街は荒れ果て、路上には民が行き倒れていたり、略奪や凌辱が繰り広げられている。

そして、その状態を招いた張本人である王と将軍は城の中で欲に溺れていた。


『なんということだ。我らが創りあげたこの国が。』

太陽の神が嘆く。

『美しかった我らの国がもう死にかけている。』

月の神が慟哭する。


『あの者たちに罰を。』

太陽と月の神は、欲に溺れている二人に雷を落とした。

抱き合う二人を裂いた雷は、それぞれの肩と腕をも切り裂いた。





続きます