奉納剣舞の翌日。

今度はドフンが朝早くに目が覚めました。

ドンジュは無理に起こすと凄まじく機嫌が悪くなるので、ドフンはそっとベッドから出てバルコニーに出ました。


王宮の中庭も素晴らしいけど、ここも素晴らしいな。

建物がエキゾチックだ。

バルコニーは中庭に面しているので、下に降りる階段があります。

ドフンは寝間着のまま、中庭に降りていきました。

そのまま散策していると、どこからか水音が聞こえます。

それは、小さく聞こえたり、大きく聞こえたり。

池でもあるのかと、ドフンは水音がする方に歩いていきました。


「…」


そこには、大きな水瓶が置かれていました。

水音はそこから聞こえてくるのです。


バシャッ


「ぅわっ」

突然、ドフンに水飛沫が浴びせられました。


「覗きが趣味なのか?」

ビショビショになったドフンが見上げた先にいたのは、水瓶の縁に腰掛けている人魚でした。

「…君は…」

「人魚だよ。見たことないのか?」

「西の国には海がないから…」

「…あ、ヒョンのお客様か。これは失礼しました。僕はチャンスン。」

「ドフンだよ。」

よろしく、と手を差し出そうとした時、バルコニーの方からドフンを探す声がしました。

「行った方がいいんじゃない?」

「また会える?」


チャンスンと名乗った人魚は、ニッコリと頷きました。


「じゃ、またね!」


ドフンがパタパタと走り去るのを、チャンスンは真っ赤な尾びれを揺らしながら見つめていました。




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