「道中は楽しんだか?」
使い龍のヒチョルもテーブルにつき、お茶を飲んでいます。
「うん。国境のお弁当売りが凄かったんだよ。」
「そうか。」
道中の話が一段落したところで、双子たちが何かを思い出しました。
「あっ、そうだ、忘れてた!」
「CQ、あれ!」
CQがドンジュに小振りのトートバッグを手渡します。
ありがとう、と受け取り、ドンジュはそのトートバッグをユンに差し出しました。
「ユン様。これ、お父様から。」
「え?チャンミンから?なんだろう?」
「開けてみて。」
皆の視線が集中するなか、ユンはトートバッグを開けました。
「…これ…」
中に入っていたのは、美しい絵柄が描かれたティーカップとソーサーのセットでした。
「お父様がね、ユン様はこういうのが好きだと思うって。キツいこと言ってごめんなさいって。」
*お忘れかと思いますが、ユンは龍のチャンミンと男巫女ユノユノから生まれた卵から孵った龍で、見た目はチャンミン、中身はユノユノという設定なんです。管理人より。
「…そんな、あれは僕が勝手だったのに…」
ユンの目にみるみるうちに涙が盛り上がり、グシグシと泣き出してしまいました。
双子たちが慌てると、ムソクがスッと寄り添いました。
「ユン、お前が泣いたらドフンとドンジュが困ってしまうぞ?チビにチャンミン殿へのメッセージを託そう?」
ユンは、ウンウンと頷き、なんとか泣き止むと、女官が持ってきたホットタオルでグシャグシャの顔を拭いました。
「ねえ、ユン様、チビって?」
ドンジュが尋ねると、ユンは指を鳴らして掌に乗る位の龍を呼び出しました。
「あ、御使いの…」
「ムソクはこの子のことをチビって呼ぶんだよ。」
伝令の龍はクルクルと回りながら浮かんでいます。
「せっかくだから、君たちが無事に到着したことも伝えよう。この子に向かって話しかけてごらん。その姿を伝えてくれるよ。」
ユンがクルクル回っている伝令を掌に乗せました。
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