ユンと一緒に現れた男巫女のムソクは、穏やかな笑顔で双子を迎えてくれました。

双子たちは、ムソクが今まで会ったことのないタイプの男性なので、ドキドキしています。


「実はもう一組ゲストがいるんだ。今はバザールに見物に出かけてるんだけど、帰ってきたら紹介するね。」

ユンはこっちこっちと、手招きして、双子たちをバルコニーへと案内します。


「「うわぁ」」

思わず声をあげてしまうほどの絶景が広がっていました。

今日は天気がよくて、市街の様子がよく見えます。

「ユン様、すごいね!」

「あの大きな建物はなに?」


手すりから身を乗り出すようにして景色を見ている双子を、ムソクがさりげなく支えます。


「あれはバザールだよ。この国最大だね。雨が降っても買い物が出来るように屋根をつけて、どんどん建て増ししていったんだ。君たちも見物に行くといいよ。」

ムソクが説明してくれました。

「バザールの前の中央広場でムソクの剣舞があるよ。これはぜひ見て欲しいな。」

ユンが広場の辺りを指して言いました。

「ユン様、なんかドヤってるね。」

「だって、その剣舞は僕への奉納剣舞だもん。」

ユンは、ふふんと自慢げに笑いました。





「あ…」

バルコニーに花びらが降ってきました。


ユンがお茶の支度をしている神官たちに声をかけます。

「一人分追加して。」

すると、神官はニッコリと答えました。


「最初から人数に入れて仕度してますから、大丈夫ですよ。」



『よう!西の国の双子!よく来たな!』


バルコニーの真上に、赤いたてがみの龍がいました。





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