双子たちはワクワクしています。

なぜなら、元服のお祝いと社会勉強を兼ねて東の国へ出掛けることになったからです。

国から国への移動手段は鉄道しかなく、それは各国の王族であっても特例はないので、双子たちも汽車に乗って旅をするのです。

ユノ王も、その昔、同じように汽車に乗って他の国へ出掛けました。

後宮管理人のチャンミンも、東の国から汽車に乗って西の国へやってきたのです。

「楽しみだね。」

「国境の駅でお弁当が買えるんだって。プラットホームに売り子が並ぶって書いてあるよ。すごいなあ。」

双子たちはガイドブックを見ながら、生まれて初めての鉄道の旅に思いを馳せます。







「ユン様から、伝令が来ましたよ。」

月の光にワイングラスを翳しているユノに、チャンミンが話しかけました。

「早く来いって?」

軽くグラスを合わせて、お互いに一口飲むと、ユノはチャンミンのほうに体の向きを変えました。

「まあ、そんなところです。準備はできたのか、とか。」

「ふふっ。相変わらず心配性だな。」


実は、東の国への移動には東西の神獣が口出しをして、危うく中止になるところだったのです。




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