「ウサギの子供がこんな黄昏時に、こんなところで一人でいるなんて危ないよ?」

大きな手が僕の頭を撫でている。

「おや、怪我をしているのか。」

その手が僕の脚や掌に触れていくと、痛みが消えていった。

「さ、これで大丈夫。もう立てるね?」

痛みがすっかりなくなって立ち上がると、目の前にいたのは凄く綺麗な男の人だった。

「…あの、ありがとうございます…」

「暗くなる前におうちに帰らないとダメだよ。闇と共に森の中は変わるからね。出口まで一緒に行こう。」

綺麗な人に手を引かれて、暗くなりかけている森の中を歩く。

「一人で森の中にいたの?」

「泉の広場に…」

「そうか。」


綺麗な人はニコリと優しく笑った。