どうしよう、もうすぐ日が暮れる。

明るいうちに森から出なさいって、お母さんにあれほど言われたのに。

怖い。

怖い。

どんどん暗くなってくる。

「はっ、はっ、はっ」

目一杯走っているつもりなのに、全然進まない。

怖い。

早く森から出なくちゃっ。

「あっ!」

僕の体が宙に飛んだ。

木の根に足をとられたんだ。


勢いがついていたから、僕の体は思いきり飛んでから地面を転がった。


「いたい…いたいよ…」

凄く痛くて、僕は起き上がることもできずにいた。

怖さも忘れるくらい痛くて、うずくまって泣いていたら、草を踏む音がした。




誰かいる!

耳を隠さなきゃ!