「それはダメだ。」

ユノがゆっくりと言った。


「どうしてっ?」

食いつくように王子たちが訊く。


「それがお前たちの母上の意志だからだ。」

ユノは王子たちを真っ直ぐに見据えた。


「君たちがどうやって生まれてきたか知らないよね?」

口調が変わったチャンミンはいつもの規律正しい雰囲気からは違って、王子たちは少しドキドキした。


「僕らは男同士だから子供は作れない。君たちが今こうしてここにいるのは、たくさんの人たちの助けがあったからなんだよ。」


チャンミンは双子たちの出生にまつわる話を始めた。

※そのときのことはアメ限設定で書いてます。(by管理人)









そして、話は双子たちが産まれた日に遡る。










双子を出産した“母親”が目を覚ますと、ベッドの周りにはユノとチャンミンがいました。


「目が覚めたか。」

「痛みますか?」


二人はとても優しく言葉をかけます。

“母親”は首を横に振ると、起き上がろうとしたので、チャンミンが慌てて止めました。


「いけませんよ。大仕事をしたのですから、ゆっくり休まなくては。ドクトリーヌを呼びましょうね。」

「あの…王さま、チャンミンさん。」

「はい。どうしました?」

「お願いがあります。子供たちには私が産みの母親であるということを言わないで欲しいんです。」

「何故だ?」

「全員が同じ条件だったのです。たまたま私のお腹に宿ってくれただけで。あの双子は後宮の皆とお二人の間の子供でいて欲しいんです。」

「本当にあなたは欲のない人ですね。」

「わかった。双子たちの母上は後宮の全員だ。チャンミン、いいな?」

「はい。もちろんです。」

ユノとチャンミンは“母親”の手を握りしめ、とても優しく笑いかけました。


「本当にありがとう。心から感謝する。」

「ありがとうございます。」













「母上たちの中で、特別な接し方をした人はいる?」

王子たちは首を横に振った。

「それが答えなんだよ。全員が君たちの母上。君たちは後宮が何なのか知ってるよね?」

「「うん。」」

「母上たちは本当に仲良しで団結力が物凄い。嬉しいことも悲しいことも全て分けあう素晴らしい人たちなんだよ。自分優先では決して動かない。いろんな事情を抱えているはずなのに。」

チャンミンは彼女たちと出会ってからのことを思い出していた。

皆、気立てよく、見た目もよく、本当に申し分のない女性ばかり。

ただ、どうにもならない事情を抱えているだけ。


王子たちは自分達がどのようにして生まれてきたのかを知り、びっくりしていました。

「お前たちがすることは、誰か一人に言葉をかけることではないな。」

「もう、わかるよね?」


ユノとチャンミンから言われて、王子たちはコクンと頷いた。