「なあ、ドンジュ。俺たちもうすぐ元服じゃん?」

そう。

双子たちはそろそろ十五歳で元服を迎える。

大人の仲間入り。

「うん。」

王子たちはおやつを食べながらお喋りしている。

思春期を迎えた彼らはおやつも兄弟だけで食べるようになり、少しずつ親離れを始めているのだった。

「元服の挨拶をさ、お母様にもしたいと思わない?」

「したいけど、誰なのか教えてくれないじゃん。」


ドフンとドンジュは後宮の女たちの誰が自分達を産んでくれた人なのか、全く知らされずに育ってきた。

本来ならば王子の生母は后となるはずだが、王子の生母はその立場を堅く拒んだため父親であるユノ王は未婚の状態。

「父上とお父様が本当の親なのは分かってるんだけどなあ。誰に訊いたら教えてくれるかなあ。」

「教えてくれないよ。きっと秘密になってるんだ。父上がOKしないとダメなんだよ。」

「じゃあ、だめだな。父上、一度決めたら絶対崩さないもんなー」




王子たちは、一般常識として後宮とは何ぞやということを学んでいる。

そして、将来自分達のどちらかのために後宮が造られることも。

「うちって、たぶん他の国とは違うんだよね?」

「うん。違うと思う。」

父親が二人いるということも、その二人が周囲が呆れるほどラブラブであるということも、ドフンとドンジュにとっては極々当たり前のこと。

後宮の女たち全員が『お母様』であることも、きちんと受け入れてはいる。

「確かにみんな大事なお母様だけどさ、やっぱり産んでくれたことに対してお礼を言いたいよ。」

「うん。」

ボーッと空を見上げていたドンジュが呟いた。

「…教えてくれそうな人、一人いるよ。」

「えっ?誰?誰?」

「ヒチョリヒョン。」

「そうか!その手があった!」


ドフンとドンジュは周りをキョロキョロと見回すと、頭を寄せてヒソヒソと話を始めた。