side King

即位してもなかなか後宮を作ろうとしなかった俺に大臣たちが痺れをきらし、後宮管理人とやらを連れてきた。

古今東西の様々な教養を身につけ、マナーや身のこなしも申し分ない。

初めて見たとき、何処かの国の王子かと思った。

スラリとした長身。長い手足。
少し長めの前髪から覗く大きな瞳。
目を伏せれば影ができるくらいに長い睫毛は、瞬きをする度に揺れた。


これから宦官となるために手術を受けると大臣が言ったから、俺はコッソリとドクトリーヌを呼んで手術を止めさせた。

勿論、表向きは手術したことにして。

宦官でもない男を後宮に入れるなんて、とんでもないことだ。

でも、俺の勘が当たっていれば、あいつは大丈夫なんだ。

俺と目が合ったときのあの顔。

一瞬潤んだ大きな瞳を、俺は見逃さなかった。