「みなさん、お仕度を急いでください!王さまがいらしてしまいますよ!」

はーい、と鈴が鳴るように口々に返事をする女たち。

「チャンミンさん、これどう?」

胸元を大きく開けた衣装を見せにくる女。

「こんなに開ける必要はありません。もっと上品に。」

はあーい。

再び鏡の前に走っていく女。


仕度を終えた女たちが次々に僕のところに来て最終チェックを請う。

僕は後宮の世話係りだ。

王の夜の相手の候補である女たちを管理し、美しく着飾らせるのが僕の役目。

ほどなくして可愛らしく美しく仕上がった女たちがズラリと並んだ。

よし。

今日もいい仕上がりだ。




しゃらん。

和音のように重なる鈴の音が王の来訪を告げる合図。

来た。

切れ長のアーモンド型の目はどこまでも冷やかで、にこりともしない。

冷血と噂されている王。

後宮で暮らす僕にはそれが真実なのか単なる噂なのか知る由もないし、どうでもいいことだ。


両側に女たちが並んでいる廊下をゆっくり歩く王の後ろについて行く。


全ての女の前を通りすぎたとき、王は振り向いて僕を見た。




「今宵はお前がいい。」



は?

僕は自分の耳を疑った。