自分を粛清してくれと、涙を流しながら親友は訴える。
「今夜に間に合って良かった。ユノユノと一緒にしてあげるから。」
トゥギヒョンは稲妻の籠をふわりと浮かせ、位置をずらして着地させた。
「キュヒョナ、あとはよろしく。」
「はいはい。」
トゥギヒョンが手を翳すと、チャンミンが人化した。
全身傷だらけだ。
「とりあえず外側だけ治すよ。あとは向こうに着くまでに、ね。」
トゥギヒョンは、ボロボロになったチャンミンの身体を治していく。
痛みと苦しみで震えていたチャンミンの呼吸が落ち着いてくると、外見だけは元通りになっていた。
「じゃ、行こうか。」
龍の姿で待っていたヒチョリヒョンの背中に、チャンミンを抱き抱えて乗ると、トゥギヒョンはオレを見た。
「キュヒョナ、辛い役目を頼んで申し訳なかったね。ありがとう。」
「オレの籠で目が覚めて良かったです。そいつをよろしくお願いします。」
深々とお辞儀するオレに、ヒチョリヒョンが言った。
「任せろ。」
そして、トゥギヒョンとチャンミンを乗せた真っ赤な龍は、花びらを散らしながら飛び立っていった。
「…民に召喚された訳じゃないのに、あの花はおかしいだろ?」
オレはため息をついて、稲妻の籠を処分すべく立ち上がった。
役目を終えた籠は、それを造った龍が始末することになっている。
一度自分の身体に取り込んでから放電させるから、後始末の最中の龍の巣を外側から見ると稲光が連続していて、仔龍はおろか、大人の龍も近寄ってはこない。
最後の一筋を始末したとき、真っ白の鱗が1枚、オレの足元に落ちているのを見つけた。
「…チャンミン。今度こそお前の巫女と一緒になれ。」
オレはその鱗を懐に入れると、龍の姿に変化して天の庭へと飛び立った。