ガラスの棺に寝かされているユノユノは、呼び掛ければすぐにも目を開けそうなくらいにやわらかな顔をしている。

廟の中は光の粒が舞っていて、チャンミンはユノユノと出逢った時の事を思い出した。

「ユノユノは綺麗なものが大好きだった。自分だってこんなに綺麗なのに。」

チャンミンの目から涙が溢れる。

ユノユノの髪を指ですくように撫でながら、チャンミンは話しかけた。

「ユノユノ、なんで独りで逝ってしまったんですか?僕に独りぼっちでいろというんですか?」







チャンミンは龍の姿のまま、ユノユノの棺をぐるりと囲み、誰一人として側に近寄らせなくなった。


シェンロンがこのままでは、東の守護が欠けてしまう。

現に世界は雨季でもないのに雨が降り続いていた。

全世界に降り続く雨は、龍の涙。

シェンロンに何かあったのだと皆が気が付くのは時間の問題だった。



ヒチョルが廟に入ると、ガラスの棺を守るようにぐるりと囲む龍が牙を剥いて威嚇する。


「もう言葉を忘れたか。」

ヒチョルは一瞬眉をひそめると、チャンミンに向かって掌を向けた。

びくん、と全身を硬直させると、チャンミンは脱力して動かなくなった。