雲の上を飛んできたから、想像したよりも早く北の宮殿に到着した。

それでも、チャンミンが頭の上に乗っているユノユノを気遣って丁寧に飛んだのだが。

宮殿の庭に緩やかに降りて、ユノユノを降ろすとブルッと震えたのが分かった。

「…寒い。」

「ここは一年中冬なんです。」

「亀って、寒いの大丈夫なのか?」


うろ覚えですけど、たしか、よくないですよね?(by管理人)


「温泉の地熱を利用して建物の中は暖かいです。あと、サンルームがあるのでそこで甲羅干しもできるんですよ。」

「そうなんだ、すごいなあ。」

チャンミンがあちこちをキョロキョロしているユノユノに説明をしていると、建物からわらわらと五人囃子が出てきた。


「チャンミン様~、ユノユノ様~お疲れ様です!」

「ようこそおいでくださいました!」

「さ、もう皆さん到着なさってお待ちですよ!」

相変わらず子犬がじゃれるようにキャッキャッと二人を囲んで建物の中に誘導する五人囃子。

中に入ると確かに暖かくて、ユノユノはマントを脱いだ。

「お預かりします!お部屋にかけておきますね!」

「えっ?部屋?僕らは日帰りのつもりでいましたけど?」


「あれ?お聞きになってませんか?ユノユノ様の舞は明日なんですよ。今日はチャンミン様の代替わりのご挨拶と夜の宴だけです。」

あんの亀ジジイ、何を企んでやがるんだ。

「チャンミン様、何か?」

「いえ、なんでもありません。では、このまま挨拶にお伺いするんですね?」

「はい!ユノユノ様もぜひご一緒に!」

…はぁ~

「あ、ユノユノ様は南のジウ様と西のスンウォン様には初めてですよね?」

「スンジェ様にお会いするのも初めてだよ。」

「あ、そうでしたね!」

「皆さま、それは楽しみにされてますよ!」


皆でワイワイとお喋りしながら広間に到着した。

「では、我らはここで失礼いたします。」

扉を開けると、中にいる人たちが一斉にこちらを見た。