中将のシウォンに会うのは初めてだった。

将校の家に生まれたんだろう。

彼にはそんな品格が感じられた。

「フルアーダ号のユンホとチャンミン、初めまして。」

イトゥクが彼に椅子をすすめ、僕らも再び座った。

シウォンは、黒ひげに潰された海賊団のリストを指しながら説明してくれた。

「現在、黒ひげは勢力を拡大すると共に、名のある海賊を次々に潰している。これには我々海軍も手を焼いているところなんだ。」

「殆どの海賊団は全滅させられている中、乗組員が散り散りながらも生き残っているのはフルアーダ号だけなんだよ。」

イトゥクは僕らをじっと見ている。

「いつかこうなることを予測して、クッデは準備をしていたんだ。乗組員一人一人の動きを全て計画して伝えていたんだよ。」

そんな…

「君たち二人を最初から逃がしただろう?一番安全なところに隠したはずだ。ま、私は見ていたけど。」

イトゥクは望遠鏡を指した。

「私はね、クッデから君たちのことを頼まれていたんだ。もしものときには力になってくれと。こんなに早くその時が来るとは思ってなかったけどね。」

望遠鏡をじっと見ていたイトゥクは、目を伏せた。

「ユンホ、チャンミン。今のまま仇討ちに向かっても、必ず返り討ちにあう。だから、ここで準備をするといい。武道、剣、弓、知識、マナー、今の君たちに足りないあらゆるものを身に付けろ。期が熟したら仇討ちに向かえ。」

シウォンは優雅な身のこなしの中にも、獰猛な獣のような眼で僕たちを見ていた。