2007年発行のダイエット本
『いつまでもデブと思うなよ』で、
より広く名を知られるようになった
岡田斗司夫。
彼の名前を初めて知ったのは、
雑誌『SPA』に1997年から連載を開始した
「人生の取り扱い説明書」においてである。
「オタキング」としての名声どころか、
寡聞にしてその名前を聞いたことすらなかった。
(昔も今も、アニメ[制作]にはあまり思い入れがないもので・・・)
冒頭に挙げたレコーディング・ダイエットの本も
未だ読んでいない。
(肥満に悩んでいるわけではないので・・・)
しかし、「人生の取り扱い説明書」は面白かった。
著者に対する予備知識のない状態で読み始めたが、
すぐに「こいつ、ただ者ではない!」と思った。
トリセツの主旨をものすごく単純化して言うと、
・自分の「本当の欲求」を知らずして幸せはない。
・人間の欲求のタイプは4種類に大別できる。
・しかし自分の「本当の欲求」を知るのは難しい。
・自分と他人のタイプを理解してみんな幸せになろうよ。
(知らないと人生トラブルつづき)
というものだ。
自分が本当に欲してもいないことを実現しようと努めても、
面白くないし、満足しないし、幸せにもならないでしょ、
というのが出発点だ。
本心から欲していないことはなかなか実現しないし、
たとえ実現したとしても達成感は得られない。
これを不幸と呼ばずしてなんと呼ぼう、というわけだ。
そして、多くの人は、
その点を勘違いしたまま、
自分の望んでいるのとは異なる価値観に従い、
不幸にむかって突き進んでいるのだ、と。
それよりなにより、
人間の欲求のタイプを4種類に分けたという、
その分け方こそが斬新だった。
それは、一般的に言われている、
明るいとか暗いとか、
積極的だとか消極的だとか、
繊細だとか粗暴だとか、
・・・といった、一般に言われている
「性格」とは別種の区分方法であり、
さらに根源的な「核」となっている
「欲求の方向性」のことだった。
明るいとか暗いというのは「結果」だし、
「明るくしよう」というのは厳密な意味での
「欲求」じゃないから。・・・
雑誌連載の「トリセツ」は、
その後『人生テスト』 (2000年)と名前を変えて単行本化されている。
(↑これも買って読んだ)
また、トリセツの内容は、
ホームページでも公開されているので、
詳しくはそちらをご覧願いたい。
↓
【特別企画】人間関係の特効薬 人生のトリセツ
(オタキングEXホームページ内)
で、今回取り上げるのは、
『いつまでもデブ・・・』とほぼ同時期に発売された、
『「世界征服」は可能か?』だ!!
フィクション(とくにマンガ)の世界には
「世界征服」という言葉がよく出てくる。
しかぁ~し、
実際に世界を「征服」することは可能なのか?
「征服」するとは具体的にどうすることなのか?
「征服」実現までにはどのようなハードルがあるのか?
「征服」できたとしたら、そのあとなにができるのか?
(あるいは、したいのか?)
ということを真っ向から論じた書である。
この
「どう征服するか」
「征服したあとどうしたいのか」
という点では、
先ほどの「トリセツ」のベースである
「4つの欲求タイプ」を把握していると
すんなりと理解できる。
「欲求」の種類によって、
当然のことながら「どうしたいか」が違ってくるからだ。
そして、その結果「どうなる」のかも必然的に決まってくる。
「仕切り屋」の軍人タイプが「世界征服」を成し遂げても、
結局、究極の「独裁者」として、
全人類の「世話」
をしなければならない、といった、
意表をつく(しかし納得できる)結論が導き出される。
これは「世界征服」という、
万人が(漠然とながら)希求しているイメージを切り口として
そこから逆に人間の「業」に照射した、
しかも遊び心にもあふれた名著だと思う。
そうだな。
もし、おれが世界を征服したら、
まず・・・、
毎日の電車の混雑を解消し、
イヤフォーンの音洩れも禁止して、
快適な「快適通勤ライフ」を謳歌する・・・、
・・・って、
世界征服者が会社勤めなんかするかああああーーー!!!
(でも、「学者=黒幕タイプ」なら偽装としてするかも)
↓
「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)
岡田斗司夫 著