表紙は、青とオレンジをメインとしたなかなかインパクトのある色使い。

表紙の裏には「4つの相関図で半導体産業の全体像を示したのち、各企業を深堀して解説!」とある。

半導体について、広く解説している本という印象。

一言で半導体産業と言っても非常に多岐にわたる関連業界がある。

・半導体メーカー(完成メーカー)
・製造装置メーカー
・測定・検査装置メーカー
・搬送機メーカー
・材料メーカー
・部品メーカー
・設計ツールメーカー

そのほかにも
・ファウンドリー企業(製造工程の一部分を専門的に受託生産する)
・ファブレス企業(設備部門を持たず設計・開発だけで収益を上げる)
・OSAT企業(オーサット企業)(パッケージからテストまでの後工程を請け負う)
といった分類もできるようだ。

かつて、日本は半導体メーカーが世界市場の50%のシェアを占めたのだが、米国との間に1986年に締結された「日米半導体協定」という不平等協定によって、衰退の一途をたどることになる。

協定の内容として「半導体の購買義務まで課せられていた」らしい。

アメリカの自国ファーストはすさまじい。

しかし、日本も製造装置メーカーや材料メーカーとしては今も世界のトップ10に入っている企業もある。

例えば、製造装置メーカーである「東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN、日立ハイテク」だ。

この辺りは投資目的に読むこともできる気がする。

日本に代わって伸びてきたのが、韓国、台湾であり、近年は中国がそれに続く。

どこの国も政府の手厚い庇護があったということだ。

なお、この本は以下の章立てで構成されている。

1章 半導体を取り巻く環境と半導体産業の全体像

2章 半導体の製造工程から整理する関連業界

3章 各種業界の業務内容と代表的なメーカー

4章 半導体とはそもそも何

5章 半導体は何に使われ、どんな働きをする?

6章 これからの半導体と半導体産業を展望する

第4章では半導体の作り方、5章では動作原理(アンド回路やオア回路)などの説明もあり、半導体についてよくわかる。(動作原理はなかなか理解できないが。。。)

なお、第6章では「日本半導体産業の今後を展望する」と題して、筆者は以下の提案をしている。

半導体産業に『挑戦すべき項目について、総花的になることなく、我が国の半導体復権に資する可能性が高いと考えられるものにプライオリティをつけ、集中的にリソースを投入すべきだという点です。

・過去の国家プロジェクトの経験と反省に基づき、計画途中評価を公正・厳正に実施し、必要に応じて変更や方向転換をするフレキシビリティと、迅速かつ強い判断・決定ができる体制を築くこと。

・特異なタレントを有する人材の発掘、育成、厚遇に努めること。

・所謂有識者や権威に多く頼るのではなく、在野の専門家や現業に携わっている人々の意見を吸い上げ、反映させることが必要です。』

強い日本の復活を願いたい。