日本人の9割が知らない遺伝の真実
安藤 寿康
感想
橘玲著
『言ってはいけない 残酷すぎる真実』
で引用された本。
面白かった。
著者の専門である行動遺伝学では
「知能は遺伝の影響を受けている」
のは、当たり前のことである。
ということは
「親がバカなら勉強しても無駄」
「遺伝の影響は一生変わらない」
「才能は遺伝ですべて決まってしまう」
と思いがちである。
確かに
『知能や運動能力など
人の備える能力のほとんどは
50%程度の遺伝率があり
いずれも成績を並べれば
正規分布を描くことがわかっている。』
しかし
『どんな能力についても
遺伝による差が生じることは避けられないが
評価する基準軸が多様化すれば
人々の幸福度は向上すると考えられる。』
著者は言う。
「ひとは幸福になるように
デザインされているわけではないけれど
現実には幸福を感じて生きている人も
たくさんいる。
それは遺伝的才能を活かす道が
この社会にひそんでいるから。」
以下、印象に残った本文中の文章
・教育とは白紙に絵を描き込むことではなく
もともと内在する資質をあぶり出させ適切な
方向付けをすること。
人間は一人では生きていくことはできず
社会的な関係が不可欠である。
社会的な関係の中で一番の基本は職業であり
社会の中に居場所を作るというのは自分が
生き続けていけるニッチを職業の中に見つけ
ていくのと同義。
・人間は12歳頃を境に子供から
大人へと変わっていく。
12歳頃までの教育は子供を大人にすることが
目的だがそれ以降の教育は社会にどう適応
させるかが目的である。