人類が進化する未来
感想
興味深い話がたくさんあり、面白かった。
扉裏には
『遺伝子操作で親が望む外見・能力を持ったデザイナー・ベイビーを作る、細胞の老化を抑えて200歳まで生きる。
かつては空想の世界の産物とされた事象が、いま現実の世界で達成されようとしている。
しかし、科学の発展がもたらす「人類の新たな進化」には、大きな思想的・哲学的問題が立ちはだかる。
古来より不変の自然の理を超え、人為的に達成される進化を、人類はどのように認識すべきか。
そもそも、ヒトが現代の「知性のあるヒト」になったのは必然か、偶然か―。世界の科学者8名が語る、ポスト・ヒューマン世界の展望。』とある。
以下の科学者に筆者である大野和基氏がインタビューしたもの。
1 ゲノム編集はヒトの希望か
(ジェニファー・ダウトナ)
2 「人生200年時代」の到来
(デビッド・A・シンクレア)
3 「目に見えない」宇宙の秘密
(リサ・ランドール)
4 人類は「自己家畜化」に陥っている
(デビット・A・シンクレア)
5 AIに料理はできるか
(ジョナサン・シルバータウン)
6 物理法則に制限される生命
(チャールズ・コケル)
7 世界大戦が起きれば数分で終わる
(マーティン・リース)
8 宇宙に「知性」は存在するか
(ジョナサン・B・ロソス)
印象に残ったのは以下
デビッド・A・シンクレアの項目では
・生活環境や生活様式が老化プロセスをコントロールし、長寿遺伝子のスイッチをオンにすることが分かった。
・老化の多くは遺伝子ではなく、いかに生きるかである。(自分の寿命は自分の掌中にある)
・食べる回数を減らすことが重要。
一日三食も必要ない。
サーチュイン遺伝子という長寿遺伝子は空腹で痩せていないと活性化されない。
高齢になってもボケないために、脳を活性化させるベストな方法は?という質問に対し、
・心を落ち着かせて、ストレスをためないこと。
脳をひどく興奮させると、老化を加速させる。
瞑想をして精神を整えることや、記憶力を鍛えることも老化防止につながる
ジョナサン・シルバータウンの項目では
人はなぜ火を使おうとしたのかという質問に対し、
・野生動物から自らの身を守るためだったかもしれない。
また、進化とともに人の体毛が少なくなったのは、火を使うことで自分の身体を温められるようになったからだといわれている。
夜間の寒さから身を守ることにも使われた。
遺伝子組み換え食品に反対する人がいる。
そもそも人工的な食品と自然諸君との明確な境界線はあるのか、という質問に対し、
・差はほとんどない。
畑にある小麦は原種の野生の小麦と比べてはるかに大きい。
研究所で改変したのではなく、農民が意図的に大きな穀物を生み出す種を選び続けたために大きくなっていった。
など。