家から10分の距離にある多摩川をときどき散策するが、最近コウノトリが飛んで来てしばらく河原で見ることができた。コウノトリといえば、日本では一度絶滅した種の鳥である。人工繁殖から始めてその復活計画が並々ならぬ努力で行われてきたことは耳にしている。識別番号のわかる輪を脚に付けていたので、兵庫県豊岡市にあるコウノトリの郷公園に連絡してみた。すると今年生まれで、関西から飛んできたことがわかった。
この本には、1971年に日本の野生コウノトリが1羽もいなくなってからの、復活までの長い道のりが書かれている。もともと長岡市には、使役に使われる但馬牛とコウノトリが共存するのどかな田園風景があったようで、そんなセピア色の写真が本にも掲載されている。その後、農薬がはやり、田んぼで餌を採るコウノトリの身体にそれが入ったり、近代化の環境変化によって、どんどん数が減っていったとか。
コウノトリ復帰計画の始まりから、その生育に適した環境作りを活動の一つに掲げていたことは素晴らしい。実際そうしないと復元もあり得なかったのだろう。
また2004年には、大きな台風がこの地を襲い、研究員の作者の家も床上浸水に見舞われて苦労したエピソードが書かれている。しかし、その経験により元々この盆地が台風の被害に見舞われやすかったことを実感する。洪水があることで再び肥沃な土地がもたらされることが分かり、天災を押さえ込むというより、自然の荒ぶる部分を「かわす」ように務めることが大事だというところに、なるほどと思いました。昔の人は、石垣を築いてその上に家を建てたり、一番低い土地ではなく、やや高い位置に家を建てたりするのが普通だったという。
いかに自然と「共生」していくか、そんな謙虚な視線が現代人にはやや足りなくなっていることに気づきました、。動物の生態系を考え、彼らが生きていけるように私たちが一歩下がる謙虚さを取り戻す必要がるのでしょう。またそうすることで、人間にとっても持続可能な環境を取り戻すことができるのではないだろうか。