この日本航空再建には、京セラ、現在のKDDIの創業者であり、私がビジネスの世界で最も尊敬する稲盛和夫さんが筆頭となり関わったわけですが、実際に日本航空は完全に立て直すことができたのか?
と、疑心暗鬼になってしまうところがあります。
と言うのも、今日紹介する本を読んで、日本航空の腐敗した社内体質や、日本航空を蚕食する代議士や官僚が過去に蔓延していたことを知ったからです。
今日は山崎豊子の「沈まぬ太陽」を紹介します

この本は日本航空に実在した社員で同社の労働組合役員である人物の実体験が基となって構成されています。
主人公も勿論、この労働組合役員の人物、物語の中では恩地元(おんち はじめ)と言う名前です。
作品は
アフリカ篇(上・下)
御巣鷹山篇
会長室篇(上・下)
の全5巻で構成されています。
先ず、アフリカ篇では主人公の恩地元が国民航空(小説内ではこのような企業名になっています)へ一流大学を卒業しエリートとして入社するのですが、自分の意思とは裏腹に、先輩社員の圧力で労働組合の委員長に抜擢されます。
本意ではないにしても、責任感の強い恩地は、労働組合の委員長として全力でその責任を全うしようとします。
社員の労働環境、待遇面での改善のために経営陣と対等に張り合うのですが、その責任感が仇となり、いつしか恩地は共産主義者のレッテルを貼られるようになるのです。
そして、会社側からアフリカへ左遷の辞令を受けます。
恩地が委員長である限り、或いは日本にいる限り、労働組合と会社側の対立は激しさを増すばかりと考えた経営陣は、海外勤務の社内規定を無視し、恩地を8年もの間、アフリカ国内でたらい回しにします。
やるせない気持ちを抑え、あるキッカケで恩地はようやく国内勤務となり、日本へ戻ってくることになります。
そして御巣鷹山篇です。
これは、皆さんご存知の世界最悪の航空機事故である日本航空が起こした御巣鷹山のジャンボ機墜落事故です。
恩地は遺族係として国内の仕事を全うするのですが、遺族の方々も実在するお話しが多く含まれています。
これだけ大きな事故を起しながら、会社の取った遺族に対する対応や、会社を存続する為、或いは自分の利権の為だけに動く上層部の酷さに強い憤りを感じます。
また、事故当時の現場がどのような状態であったかなども、詳しく書かれていて、私はもの凄い衝撃を受けました。
その受けた衝撃は、本を読んで見ないとわからないと思います。
最後は会長室篇です。
御巣鷹山の事故後、会社は経営陣の刷新を図ります。
新たな人事に会長として国見(くにみ)という人物を迎え入れます。この国見のモデルは実際に日本航空が再建の為、受入れたカネボウの名誉会長であった伊藤淳二と言う人です。
国見は会長室を発足し、そこの部長職に恩地を迎え入れます。
国見と恩地は会社再建に精力を傾けるのですが、その腐敗体質の状況は想像以上に酷いのです。
代議士や官僚に対する賄賂や、国民航空経営陣、その傘下の関連企業の経営陣などの私腹を肥やす不正、社内派閥を確保する為の天下り人事などなど、まぁ、恐ろしくなるほど酷いものです。
会社のことを本気で考え、日本の将来を本気で考えているまともな人間ほど馬鹿を見るのか?
と思えるほどです。
結末は、世の中のどこに正義が存在するのか?
と思ってしまうような結末なのですが、ふと思い返すと、多かれ少なかれ、ある程度の規模の会社には、このような組織の醜い部分が存在するのではないかと考えさせられました。
山崎豊子の小説はこの他にも何冊か読んでいますが、実話に基づいたものが多いので、生々しい迫力があります。
また、実在する時の政治家なども名前を変えて(でも、誰のことを言っているのかは読めばわかります)登場するので、その行動もとても面白いです。
皆さんも、是非読んでみて下さい

|
|
|
|
|
本・書籍 ブログランキングへ
