個人的評価★★★★☆
依頼のたびに起きる事件に首を突っ込みでたらめな推理を披露する店長・華沙々木といつも言いくるめられてがらくたを高値で仕入れてしまう修理担当・日暮の2人が営む「リサイクルショップ カササギ」。カササギにはかつて華沙々木に救われた女子中学生・菜美が入り浸っていた。「名探偵・華沙々木」を信奉する菜美の憧れを守るために日暮は華沙々木のでたらめ推理を「本物」に仕立て上げる。
心温まる四季の物語4編を収録した連作短編です。
感想(若干ネタバレあり)
以前「ラットマン」の感想でも触れたように、道尾秀介さんの小説は基本暗澹たる空気感を纏っていることが多いのですが、こちらは終始その鬱々とした雰囲気は感じられないので人によっては物足りなく感じるかもしれません。
「菜美に落胆させないよう華沙々木の間違った推理を事実(のように)にリペアする日暮」というお約束のパターンが楽しく気楽に読めるミステリーです。ラストでお約束を破る展開も好みの構成で面白く、「親子関係」がテーマの一つで、ほろ苦さもありつつじんわりと胸が温かくなる良い短編だと思います。まさか悪徳和尚に泣かされるとは思いませんでした。
好きなシーンは
「日暮さんは、どう思う?」
菜美の境遇にかつての自分を見出し、彼女の信じるものを隠れて守ろうとする優しい日暮ですが、もしかしたらその優しさはちゃんと菜美に届いているのかもしれません。
短編の、ライトタッチのミステリーですが妙に心に刺さる小説でした。ぜひまたカササギの面々の新しい物語を見てみたいですね。
