個人的評価★★★★☆
小学五年生の女の子、ハルは夏休み初日に誘拐されてしまう。その犯人は二ヶ月前から家を出ている実の父親だった。ハルとだらしない父親の夏休み誘拐旅行が始まる。
感想(若干ネタバレあり)
全て小学生ハルの視点で描かれているので、ダメ人間の父親と母親の誘拐の交渉条件など子供の視点では「わからないようにされている」のが面白かったです。
「人質」として父親に連れ回されるハルはだらしない父親への思い、厳しい母親への思い、そして2人から仲間はずれの現状と複雑な気持ちを抱えながら旅を続けます。
交渉が決着すれば旅は終わり、条件は明かされませんが旅が終わればきっとハルと父親がふたたび一緒に暮らすことはない、ということは察せられます。
ハルはどれだけだらしなくても父親のことが好きで、父親もハルにどう接していいか分からなくてもハルのことを想っているに違いないのですが、それを言葉に出来ず無駄にはしゃいだり無理して喋り続けたりと、この親子2人の旅は明るいシーンでもどこか切なさがあり、不器用な愛情が胸を打ちます。
ハル視点ゆえに難しい表現や言葉はなく、小学生にも読める作品でハルと同世代向けと言えますが、私は娘を持つ父親に読んでほしい、と思っています。
そして「難しい表現を使わないで文章を構成する」ことは実はすごく難しいと思うので、児童向けと敬遠せず、ぜひご一読ください。
