個人的評価★★★★☆
現実に対してどこか冷めている女子高生里帆子。父が失踪し、母は末期ガン、ろくでもない男と付き合って人生を常に窮屈に感じていた里帆子は別所と名乗る男に写真のモデルを依頼される。別所との出会いが凝った里帆子の心をほぐしていく、少し不思議な物語。

感想(若干ネタバレあり)
















里帆子が「ドラえもん」の大ファンなのでひみつ道具になぞらえて話が進んでいきますが、里帆子の境遇がなかなか悲惨なので全体的に暗い雰囲気の作品です。
里帆子はどこか冷めているというか何に対しても絶望している感があるので、他人を見下しがち(と捉えられがち?)です。また辻村作品でよく出てくる「クズ枠」の里帆子の彼氏 若尾が今回本当にどうしようもない男で「なんでそんな男と付き合ってるの?」とイライラさせられるので、里帆子を好きになれない人も多いと思います。

しかし、天才ピアニスト郁也や別所と関わっていくうちに里帆子の絶望が希望へと変わっていき、生きる気力を取り戻していく様は感動しました。暗闇の中に光が差すような、暗い雰囲気の中でも希望のあるストーリーになっています。
講談社文庫の帯ではこの作品を辻村深月さんデビューにおすすめしていますが、確かに細やかな人物描写や引き込み力など辻村深月さんらしさが全開です。しかし里帆子や若尾に嫌悪感を抱きやすいかも?というところが心配なので、やはり私は辻村デビューにはメジャースプーンを推したいです。

僕のメジャースプーンともリンクしているのでぜひ合わせてご一読ください。