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個人的評価★★★★☆

どうしようもなく「死」に惹かれてしまう思春期の少女アンが、いじめや家庭の問題から普段は接点のない同級生徳川に依頼し自身の殺人事件を作り上げる物語。タイトルで誤解されがちですがサスペンスではなく青春小説です。
中学生独特の若さというかイタさ、不安定で残酷な様が読んでいて辛くなるのですが、きっと誰もが体験しているからこそ感情移入しやすく、ラストの爽やかさは格別です。個人的には中学生や高校生に読んでほしい作品です。
 
感想(若干ネタバレあり)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 






とにかく中学生時代にありがちな親との不和だったり、いじめを含む友人関係など、「ああ、あったあった」となるシーンがあってグイグイとページをめくらされます。あまりに理不尽な理由で主人公アンがいじめのターゲットになり、いじめを受けるシーンは本当に読んでいて辛くなります。最終盤にはなんとなくいじめは自然消滅してました、というところもリアル。
殺人を依頼した徳川と理想の殺され方を放課後や休日に議論して突き詰めていくのですが、その二人の関係は普段学校でほとんど話すこともない同級生で、友人でもなければ恋人でもない、でも一緒の時間を過ごしている正にクラブ活動メンバーなのです。そういう意図でのこのタイトルだと思うのですが拍子抜けだったという感想の方もいるので若干タイトルで損しているのかも?
 
好きなシーンは
アンがバスケ部で無視されている時、いじめの主犯格芹香からパスをもらっていじめられているにもかかわらず嬉しくなってしまう
アンが体育で使う水着を隠された挙句、焼却炉に捨てられてしまうのを徳川がこっそり取り戻してくれる
終盤アンの小学校からの同級生で徳川と同じ美術部に所属するえっちゃんとの会話。
 
いじめられているのにちょっと相手されるとすがってしまう心理がすごく分かってしまいます。この辺は読んでいてこちらの心もズタズタなのですがそんな中で徳川の不器用な優しさが刺さります。
その徳川がアンの元カレである河瀬を「あいつ性格悪いよ」と評するシーンがあります。河瀬のことを徳川が嫌う理由は作中で明記されませんが、えっちゃんの話でなんとなく察せられます。ついニヤリとしてしまいます。
 
他の辻村深月さんの作品にもいえることですが引き込まれすぎて疲れるくらい世界に入られる作品です。ぜひご一読ください。