星川瑞人の隣には「名探偵」が住んでいた。隣人の波多野千歳は圧倒的な推理力で小学生、中学生、高校生の瑞人の周りで起きた事件をたちまち解決してみせたが、大学生の時に起きた事件の犯人を自身の恋人と推理してしまう。自ら暴いた真実に傷つく千歳を救うため、瑞人は「名探偵」に挑む。

感想(ネタバレあり)











小学生→中学生→高校生→大学生とそれぞれの「みーくん」と「お姉ちゃん」の事件が描かれます。時間は大きく飛びますが連作短編集で、いつもの似鳥方式(名探偵と普通の人のコンビ)かな?と思いましたが今回は一味違いました。

・日常の謎系ミステリーかと思いきやラストの事件では殺人事件が起こる
・名探偵の推理を普通の人が覆す

というパターンは今までになかったので意外な展開で楽しめました。
憧れから恋へと変化したみーくんのお姉ちゃんへの思いは高校編で失恋という形で終わります。しかし大学編で千歳は恋人を犯人と推理し恋人は逮捕。傷つく千歳を慰めてあげれば自分が恋人になれるのに、みーくんはそうしません。

「お姉ちゃんが選んだ人が殺人などするはずがない」
と考え、今までの事件でお姉ちゃんから教わり培った推理スキルを駆使して推理が間違っていることを証明しようとします。聖人か。

憧れは恋に変わり、見返りを求めずその人の幸せを願う。まさに愛です。神様どうか彼に祝福を、と願わずにはいられません。

「お姉ちゃんの教え」は似鳥式推理小説のトリック看破術だそうです。真似しても全然解ける気がしません。やっぱり作家さんはすごいなぁ。